日本の公立学校ではコロナウィルス対策として遠隔教育が実現できない現状がずっと先まで続く。

 新型コロナウィルス対策のため休校している学校が、ビデオカンファレンスや動画配信サービスなどを活用して自宅に居る児童・生徒たちへの遠隔教育(テレ・スタディ?)が出来ていない状況について、考えてみます。(あくまで個人的な見解で、間違いもあると思います)

1 タブレット端末などが児童・生徒に行き渡っていない。
 児童・生徒に貸与できるタブレット端末が十分整備されていない学校が殆どであり、ニュースでは授業を宿題プリントに置き換えて、超高速で課題作成に追われている先生方の姿も報道されていました。これでは、数十年前と同じで、世の中にネットが無いのと等価ですね。

(参考)GIGAスクール構想は何と!遠隔教育は全く考慮していない驚きの構想で、あくまで学校で使う事が前提のようです。しかし、こうなってしまっては遠隔教育を無視する事は出来ないので、今後は構想の修正か、次の構想にステップアップされると予想されます。
 各自治体の教育委員会の実際の動きは大変です。前後する部分もありますが概ね次のようになっています。
 文科省などの説明会に参加、実施済み自治体へのヒアリングやメーカー、整備事業者などからの情報収集を進めつつ、首長部局(政策部門や財政部門等)との連絡調整。→文科(国)への認定申請(殆どの自治体は県で取りまとめ後)→国からの事業認定→交付申請→作成した予算案の策定及び議会承認と同時に国への交付申請→国からの交付決定→調達仕様書作成→業者選定→事業開始(着工)→完了(検査)報告の国への提出
 しかも本年度の補正予算で・・・そんな最中にコロナウィルス対策のための緊急要請が発生しています。忙しすぎる教育委員会の皆様のご心労が危惧されます。どうか免疫力を高めてウィルスに負けないでください。

 このように環境の整備がとても遅れてしまっているという事が遠隔教育が出来ない最大の原因です。

2 タブレット端末などがあっても通信出来ない
 タブレット端末が全員に行き渡っていたとしても、自宅にWi-Fi環境が無かったり、4G回線の契約通信容量の制限があると、授業のビデオ配信などには当然対応出来なくなります。殆どの家庭にWi-Fi環境があったとしても、常に一律のサービス提供をしなければならない立場の公教育では、学習環境の格差をつくるような行動は取れません。全員に等しく遠隔教育でデータを受発信できる環境がなければならず、これでは永久に遠隔教育の実現は難しいかも知れません。個人的に日本のWi-Fiサービスは安く無いと思います。政府が休校にする変わりに、512kbpsでも良いので無制限SIMカード付きの格安端末を全児童・生徒に配布すれば良いのですが、緊急対応策としては無理ですね。

 結論的に課題プリントを作って配布するというのが最も良い方法になりますし、私もそうした方が良いと思います。

3 先生方がすぐに対応出来ない
 ネットを通じた遠隔地向けの課題配布やテストの実施、授業の配信、カンファレンスの開催など、用途や目的に応じてツールを使い効果的な活用を経験している先生はとても少数です。それは当然で、普段そんな必要が無いからです。
 iTunes Uで授業計画や資料、コンテンツの共有を、Google Classroomでテストを、Apple classroomアプリで生徒との画面共有や先生の画面定時を、Zoom(今、コロナウィルス対策で学校は無料アカウントの時間制限が解除されています)でビデオカンファレンスを行う、YouTubeを使って授業のビデオ配信をする。などなど・・・無料でできる事がこれほどあるのに、しかもiPhoneでもできるのに・・・ビデオをどうやって撮影するのか、課題をどうやってネット配信するのか、やった事が無い先生が殆どです。

 以上の理由から、全ての学校が効果的な遠隔教育を実施するためには最低でも10年以上はかかると思います(いや、ずっと無理かも)。テクノロジーの視点からすれば、10年先は遠い未来、10年前はかなり昔という事になります。世間から切り離された学校は、まさにタイムカプセル状態です。一方で、今回のコロナウィルスでの休校状況を打破すべく、遠隔教育を実現されている学校も見受けらます。教育現場のネット対応は益々格差が生まれているわけですが、それがそのまま児童・生徒の学力格差に直結してこないのは、学習塾が遠隔でサービスを提供しているからなのかも知れません。

 毎年、インフルエンザでも良く学級閉鎖が発生します。やはり、しっかりと授業は受けてもらいたいものです。遠隔授業を実現するためにも、今後の対応策として思いつくものをいくつかご提案します。

(1)中低速無制限SIM搭載タブレットを児童・生徒、教職員全員に貸与
 4Gの512kbps程度の学割使用料を政府補助もしくはキャリア協力により準備出来れば、各自治体がランニングコストに対応出来るようにする。また、MDM環境の導入でクラスルームへの参加や、アプリの配信サポートも。512kbpsあればビデオカンファレンス も動画もOKです。(ついでにレイティングフィルタも入れておくと良いですね)
(2)YouTubeチャンネル等で授業の配信練習
 非公開でいいので、YouTubeで先生方の授業が聴ける準備を。児童・生徒の反応が無いとだめな授業ではチャット連動すれば良いですね。
(3)校内のネット環境で考査を実施
 学校内で、Google classroomなどを活用して定期考査を作成・実施してみる。カンニングの監視は不要ですね。いつかはちゃんと受験する事になりますから。
(4)公共施設の利用可能性を探っておく
 遠隔授業に参加出来る場所的な環境が無い児童・生徒が、近隣の公民館などに行って授業に参加出来るかなどを検討・確認しておく。各地域の方との協力体制を作っておく。
(5)ネットで出来る学習とそうでない学習を分類しておく
 特に体育や音楽の授業は、集団で動いたり、音を出しても良い場所が必要など、ネットで可能な範囲は限定的になってしまいますので、その範囲を明確にしておいて、実施するタイミングを調整しやすいようにしておく事が必要だと思います。Zoomでダンスのレッスンしたりする学校があったら凄いですね。YouTube動画を見ながら自主トレしているのも主体性があって良いと思います。