iPad活用教育の支援へ
GIGAスクール構想の予算執行が進み、多くの自治体で「タブレット〇〇台を全学校に導入」といった状況が広がってきました。コロナ対策の渦中に新しいデバイスを導入。本当に現場の先生方は大変な状況になってしまっていると思います。また、たとえ高性能なタブレットを導入しても、5年もすれば新しいOSに更新できないサポート切れ寿命を迎える事になります。最近、教育現場の実情をよく知っている方との懇談があり、iEdTechとしても今後教育現場の先生方とニューノーマルなスタイルを実現しつつ、iPadを活用した教育支援を関係企業の皆様と一緒に支援できればと考えております。
iPadを活用した教育支援について、iEdTechは次のように考えます。
(1)教育のエッセンスを見出す
どんな学力をつけるために行う教育なのか。「ベース知識の獲得」、「ツールリテラシー」、「仮説・類推といった予測思考」、「検証、比較、評価」、「論証、コミュニケーション、プレゼンテーション」、「クリエイティビティの向上」などなど、教育が担う学力の視点は、社会でより良く生きていく為の全方位の能力の向上・醸成・深化・定着です。いつでも調べられて、いつでも表現できるツールを全員が所有している時、まさに全方位の学力が拡張されます。あれも、これもと言っている間に時間ばかりが過ぎないように、有限な時間の中での教育(指導)の目標をいかにシンプルに定義しておくのか。教育のエッセンスを見出しておくのかが全ての鍵だと思います。
たとえば、「円周率はだいたい3くらい」という話題が過去にありましたが(直接タブブレットとは関係ない議論ではありますが、例えばの話です。)・・・タブレットがあれば短時間で円周と直径の長さの比を視覚的に分かりやすい解説でする事ができます。さらに、どのように円周率が計算できるのか、実際に測ってみる事も授業に取り入れる事ができます。さらにはプログラミングして計算してみることも可能ですが、教科、科目、単元それぞれが目標とするエッセンスはなんでしょう。「円周の長さは直径のおおよそ3倍くらいになる」というのは、生活の知恵的な知識獲得、あるいは計算結果の妥当性をおおよそで判断するためのものと言って良いでしょう。一方、円周率がπ(パイ)で表される無限小数になる不思議を考えてみるというのはどうでしょう、いつまでも収束しない課題は実数を計算する永遠の旅路で、ヒストリカルに多くの識者が挑戦してきたとても興味深い真実の積み重ねで、コミニュケーション力やプレゼンテーションの題材としてもってこいかもしれません。何を教え、何を考えさせ、何を表現させたいのか、そのエッセンスの重要性がタブレットの導入で再び問われる事になると考えます。iEdTechはそれこそが学校にタブレットが導入されて出現する本当の効果だと思っています。先生方とはそのような議論をする事を大切に思います。
(2)新しいテクノロジーを避けない事
紙の教科書と電子教科書、教育効果やネット環境の公平性などの議論があって、とっくに答えが出ても良い問題がまだ未解決ですが、最近では置き勉OKの学校が増え始めていて、とても良い傾向になってきたと思います。紙の教科書を持ち歩いて色々書き込みをしたい人は紙の教科書を使えば良いし、電子教科書で動画が楽しくて分かりやすい人は紙の教科書を使わなくても良い選択の自由が生まれているのですから。テストや宿題もタブレットを積極的に使っていく事、授業で使うワークシートや連絡用の書類もなるべく電子化する事で選択肢になります。紙だけのままではいつまでも選択肢が生まれません。長年学校が新しいテクノロジーを受け入れられなかった事で学習者の選択肢を少なくしている事を一緒に考えていきたいと思います。テストの回答にネット記事のコピペができたら最高だなと思っています。(それでも正解・不正解が出現しますよね)
AIを活用した画像解析や、行動分析、音声認識など、新しいテクノロジーを野心的に教育手段にしていく事。手数が増えれば選択肢も増え、学習者の多角的な能力の発掘・向上に寄与する事は疑いようもありません。そのためには、デジタルとアナログを区別して議論するのではなく、新しいテクノロジー(機能)をどのように生かすのかから議論に入るべきなのだと思っています。
(3)クリエイティブになる
「問題集の〇〇ページから〇〇ページまでを宿題にします」という宿題が「問題回答動画のアップロードを宿題にします」という時代はとっくに来ています。「では今日は美術鑑賞を分かりやすくする為にiPadで何ができるか考えてみましょう」、「最近、近所のゴミ出しルールが守られていませんが、iPadで何ができるか考えてみましょう」、「朝起きるのが苦手なAさんに朝起きるのが得意になるためにiPadで何ができるか考えてみましょう」などなど、ワクワクするような課題解決学習がより具体的に、より身近に実現可能になっていきます。先生方も次回の教材はアプリを使うのか、電子書籍を自作するのか、iTunesで配信するのか、YouTubeで作るのか・・・それらが全て学習者に渡せるようになり、繰り返し使える学びの動機に、さらに改善できる生きた教材になっていきます。各種編集アプリや少々難しい操作も必要かもしれません。でも多くの先生方はそれを乗り越えて児童・生徒たちの為に優れた教材を開発するでしょうし、学習者も自分で創り出すという喜びをiPadで得られると思います。基礎・基本のトレーニングは重要ですが、その先にあるクリエイティビティの向上こそ教育が目指すべきものだと考えます。
さあ、始めましょう!
使い方、メンテナンス、プライバシー保護、セキュリティ、モラルの醸成、効果的な活用法、課題は山積みですが、教材開発も、プログラミング教育も、課題解決型学習も、iPadの導入によって、今までより効果的でもっと興味深くなる新しい教育の時代が到来しました。